こんにちは! 富士山レンジャーです。
9月10日で富士山の開山期間は終了し、山頂に向かうルートは全て閉ざされています。しかし、5合目を散策できる御中道は11~12月頃までは通行可能(*1)で、秋の富士山の自然に触れることが出来ます。
今回はそんな秋の御中道の魅力の一部をご紹介しましょう。
*1...降雪や土砂崩れ等の影響で予告なく冬季閉鎖が早められる可能性があります。必ず最新情報を確認するようにして下さい。
[御中道とは]
「御中道」とは、富士山の中腹五合目~六合目辺りを水平方向にぐるっと一周結んだ道です。周囲は約20kmで、かつては富士山を信仰の対象としている富士講の信者が巡拝してきたものです。富士山頂に3回以上の登頂経験のある者のみに許された修行のための道だと言われています。
現在は大沢崩れ周辺など一部危険区域があるため、通行不可の所があり、一周することは出来ません。
[秋の御中道の魅力]
御中道の第一の魅力は、動植物の豊かさです。五合目より上の登山道は植物も少なく、荒涼としていますが、森林限界より手前にある御中道では、カラマツやダケカンバの樹林帯の中を通ったり、砂礫帯でも黄色く色づいたイタドリやオンタデなどの草花が彩りを添えています。野鳥も多く、鳥たちのさえずりに耳を傾けながら、富士山の自然を親しみ、雄大な景色を楽しみながら歩ける御中道は紅葉の時季がベストシーズンと言えます。
ダケカンバ (9月17日撮影)
ナナカマド (9月17日撮影)
御庭から富士山頂を望む (9月17日撮影)
[御中道を歩く上での注意点]
①防寒着を忘れずに
気象庁データベースを基に算出
上のグラフは、富士山頂と河口湖の気温データを基に算出した富士山5合目付近の最高気温の推移です。閉山直後は15℃前後ありますが、10月で15~5℃、11月で10℃~0℃と非常に寒くなります。天候次第では秋でも氷点下になることもあり、防寒具は必須です。手袋なども忘れないようにしましょう。
②ルートを外れない
御中道に詳しい方の中には、「以前に大沢崩れの手前まで歩いた事がある」という方もいらっしゃるかも知れませんが、現在は一部崩落等の危険箇所があるため、御庭より先の大沢崩れに向かう道は一般の立ち入りを禁止しています。危険ですので立ち入らないようお願いします。
御庭のあずま屋より西に少し進んだ所に立入り禁止のロープが
ありますが、それより先には行かないで下さい。
また、御中道の中には、砂礫帯で山頂まで見渡せる箇所があります。景色も良いとつい登りたくなってしまいますが、道が整備されていない斜面を歩くと足を捕られ滑ってしまうので、非常に危険です。絶対にルートから外れて斜面を登ったり(下ったり)しないで下さい。
近くに導流堤がある所もつい上に乗って記念撮影したくなりますが、これも危険です。ファミリーで訪れる際には、特にお子さんから目を離さないようにお願いします。
手前にあるのが導流堤。記念撮影したくなる気持ちは分かり
ますが、危険なので絶対に行かないで下さい。
③動植物や溶岩を採(捕)らない
以前のレンジャーブログでも書きましたが、富士山は国立公園であり、5合目より上は特に「特別保護地区」として自然公園法により守られています。動物(昆虫も含む)を捕ったり、植物(落ちている枝なども含む)を採ったり、溶岩を取ったりする行為は環境大臣による許可がなければ出来ません。
(植物を)採ったり、(動物を)捕ったり、(溶岩を)取ったりするのは、NGですが、(写真を)撮るのはOKです。楽しい思い出はぜひ写真に収めるに留め、自然を大切に守りましょう。
[秋のエコトレッキングのご案内]
富士山ボランティアセンターで、『富士山にゴミを持ちこまない・捨てない・気づいたゴミは拾う』の趣旨で毎年開催している富士山エコトレッキング。
今回は「富士山御中道コース」と「富士北麓コース」の2コースで開催します。当日は富士山レンジャーによる環境学習会や景観保全のための清掃活動も行います。秋の1日を富士山の環境保全とトレッキングで過ごしませんか?
富士の国やまなし観光ネット
http://www.yamanashi-kankou.jp/volunteer/topics/ecotre_h30_no2.html
募集締切り: 10月5日(金)まで
運が良いとニホンカモシカと出遭えるかも。
(御中道にて9月17日撮影)