「空気のきれいなところに住みたい」と願って、首都圏から引っ越してきた「こまち農園」の八木千恵子さん。県立農業大学校で学ぶうち、すっかり農業の楽しさに魅了されたそうです。未経験から始めたそうですが、今では新人農家に技術を指導するまでに。「レストランのシェフが直接農園に訪ねてきてくれることも多いですよ。彼らの希望をできるだけ叶えてあげたい、と工夫を凝らしていたら、いつのまにか種類がどんどん増えちゃって」。
全て無農薬の有機野菜。八木さんのニコニコ笑顔が反映されたような、生き生きと元気な野菜です。

「八ヶ岳ロイヤルホテル」のレストランでは、四季折々、地元の野菜を多く取り入れています。料理長の武井文昭さんは、南仏プロヴァンス地方で修行していたこともあり、野菜の持ち味を生かした料理が得意。「旬を求めて訪ねてくれるお客様も多く、野菜ありきで当日メニューが決まることもあります。その時期に一番美味しいものを提供できるのは幸せなことです」と語ります。農園にも自ら出向き、生産者と直接会話をすることで、学ぶことも多いそうです。「この土地の野菜が美味しいのは、志ある生産者のおかげでもあります。人との繋がりを大切にしたいと思っています。」

この辺りは名水の里とも呼ばれ、八木さんの畑も、日本名水百選に指定された「三分一湧水」の水を畑に引いています。日照時間が長く、昼夜の寒暖差があるので、野菜がバテることなく、甘みがしっかり凝縮し、元気に育つそうです。無農薬なので、その場でぱくっと食べても安心。八木さんは、ときには畑で味見をしながら農作業を楽しんでしまうそうです。武井さんも「味にトゲトゲしたところがなく、野菜本来の自然な味。野菜嫌いの人も、気付いたらバリバリ食べてしまうほど」とお墨付きです。