古くから農業用水として村の人々に大切に使われてきた三分一湧水。豊富な水量で、水温は年間を通して10℃前後を保っており、「日本名水百選」にも指定されています。「山梨県の中でも、八ヶ岳の水はとりわけ透き通っているように感じます」と話すのは、三分一蕎麦組合で代表を務める小林宏さん。日当たりがよく、標高1000m以上の水はけの良い土地は蕎麦畑に適しており、三分一湧水の清らかな水が蕎麦を健康に育てます。化学肥料は一切使わず有機栽培のみで、昔ながらの蕎麦作りを実践。「自分たちの育てた農作物で、お客さんが美味しいと言ってくれることが、何といっても一番のやりがいです」。
三分一蕎麦組合(前列)と、そば処三分一(後列)のみなさん
蕎麦打ち職人の佐藤健一さんは、サラリーマン時代にたまたま旅行でふらりと訪ねた山梨で、景色のあまりの美しさに感動し、すぐに夫婦で移住することを決心したそう。蕎麦打ちは元々趣味でしたが、いざ本職となってみると、今でも難しいと感じることも多いそうです。「毎日やっていても、うまくいかないこともあります。でも、難しいから面白い。また、生産者さんたちの一生懸命な姿を日々近くで見ているから、その想いに応えられるよう頑張らなければ、と自分たちの役割の重さも感じています」。
標高が高く寒暖差があり、きれいな水がある八ヶ岳は、蕎麦にとって非常に恵まれた環境。畑は店から歩いてすぐ近くにあり、いつでも製粉したての蕎麦粉が手に入ります。生産者と蕎麦打ち職人がお互いにコミュニケーションし合い、共同作業でこの土地の蕎麦文化を盛り立てています。「8月の終わりには辺り一面に真っ白い蕎麦の花が咲きます。本当にきれいな風景ですよ。蕎麦を食べに来たら、景色も一緒に楽しんでください」と小林さんも佐藤さんも絶賛しています。
香り高く喉越しのよい蕎麦は、
手打ちならではのしっかりしたコシと弾力感があります。
店では蕎麦を打つ様子を、窓越しに見ることができます。
天ぷらに使われている野菜も、全て地元で採れたもので、
地産地消を心がけています。
天もりそば 1,200円
そば処の食材にも利用している、地元の取れたて野菜や、様々な加工品を販売。名水が育んだ、ここでしか味わえない高原の味を、まるごとお持ち帰りいただけます。
八ヶ岳南麓の湧水の仕組みや水質、民話や歴史などを紹介。最上階にある展望ホールからの山岳展望は、国立公園や世界遺産を一望でき、世界有数の絶景が広がっています。
日量8500t、年間水温10℃前後の八ヶ岳南麓湧水群で名水百選の一つです。自然の恵みのシンボルであり、大切な水を分かち合ってきた先人の知恵のシンボルでもあります。
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