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お寺巡りでは、お参り以外にも楽しみがあふれています。息をのむほどの厳かな美しさを放つ庭園は、日本人ならではの侘び寂びの心が感じられ、見ているだけで自然と心が穏やかになります。また境内へと続く道にひっそりと佇んでいる石仏や、参拝者を見守ってくれているかのように山門横にずらりと並んでいるお地蔵さんに出会えるのも楽しみです。
武田信玄の墓所があることで知られる甲州市の恵林寺には、夢窓国師によってつくられた700年近くの歴史を持つ池泉回遊式庭園があります。京都嵯峨野の天龍寺、嵐山の西芳寺とともに、代表的な庭園として有名です。
甲州市の三光寺の流水式庭園は、県指定名勝で山腹を利用して造られた自然庭園です。本庭園は特に書院方面からの眺めがすばらしいです。
また甲州市にある関東屈指の古刹といわれる大善寺では、地泉鑑賞式の庭園を見ることができます。江戸時代初期の雰囲気が強くでている見応えのある庭です。
ほかにも甲州市の栖雲寺の多くの巨岩からなる豪快な石庭は、多くの修行僧が坐禅を組んだ禅庭として伝わっています。また、秋には見事な紅葉も楽しむことができます。
美しい庭とともに、参道に並ぶ石仏もまた、心惹かれるものです。北杜市の海岸寺の境内には、高遠の名工守谷貞治が8年をかけて刻んだといわれる100体もの観音様が並んでいます。長い年月の中で苔の衣をまとった石仏を見ているだけで心が和みます。
韮崎市の雲岸寺は七里岩という山のような大きな岩の最南端に立てられているお寺で、そこには空海がつくったと伝えられる観音様が七里岩をくりぬいた洞窟の中に安置されています。穴観音とよばれるその観音様の周りには千体仏も安置されています。
先の石庭で有名な栖雲寺には山梨では珍しい磨崖仏の地蔵菩薩と文殊菩薩があります。また韮崎市の願成寺には、階段脇に秩父三十四観音像が立ち並び、様々な表情の観音様が出迎えてくれます。