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更新日:2019年6月24日
東京オリンピックロードレースコースに選ばれたことで、国道413号から山中湖(やまなかこ)畔へと続くロングライドコースは都内のサイクリストからも注目を集めています。7月のオリンピックテストイベントを前に、元プロロードレーサーで山中湖村の国際交流員を務めるトム・ボシス氏(以降「トム」と表記)と、彼が率いる山中湖サイクリングチーム「山中湖シクリスムフォーマション」のメンバーと一緒に実際にコースを伴走してみました。自転車だからこそ味わえる、コース上に散りばめられた魅力的なスポットを紹介します。
【青色ポイントコース】両国橋から山伏トンネルまで (距離:24km)
初心者~中級者: ~1時間45分
中級者~上級者: ~1時間20分
【赤色ポイントコース】山伏峠から山中湖を一周しパノラマ台まで (距離:21km)
初心者~中級者: ~1時間10分
中級者~上級者: ~55分
※走行状況や休憩の入れ方等によって変わりますのであくまでご参考に!
※東京2020オリンピックロードレースコース開設はコチラ(外部リンク)
▲「山中湖シクリスムフォーマション」のメンバー
▲山中湖までの道のり34km
スタートは神奈川県と山梨県の境、道志(どうし)村の両国橋から。国道413号は、豊かな自然に囲まれた道志村を貴通していることから「道志みち」とも呼ばれています。「道志みちは山中湖に向かって緩やかな登り坂がひたすら続き、最後にはいつまで続くか分からないと感じるまるで地獄のような登り坂があるコース。その中にも自然を楽しめるスポットいくつもある。」とトム。
▲大渡地区水汲み場の全景
▲とめどなく流れる道志の水
国道413号を東京方面から爽快に走って来ると、右手に「大渡の水汲み場」が見えてきます。さかのぼること昭和32年、地区の男性9人が自ら谷を越え500mの長きに渡り、水道管を大室山(おおむろやま)から引きました。当時から変わらない、道志の木々が育んだ美味しい自然の水を味わうことが出来る水汲み場です。
バイクラックも設置されており、東京方面から青根(あおね)地区の坂道を登り、自転車を走らせてきた方にとって最高の休憩所となります。道志の水は、豊かな水源林によって育まれるため不純物が少なく、100年以上前から船舶給水に使われ、「道志の水は赤道を越えても腐らない」と言われる程上質な水で今でも横浜市の水源となっています。そんな道志の自然の水で乾いたのどを潤す最高の贅沢が味わえます。
▲自然に囲まれた野原の吊り橋
▲吊り橋から見た川と緑
トムは「自転車の魅力は、何よりも体全体で自然を感じられること、車ではすぐに行けない場所にも簡単に足を延ばせ、気が付かないような場所に行くことが出来ることだ」と語ります。
道志みちは緩やかな登りが長く続きますが、その道中ほんの少し道志みちから外れるだけで、素晴らしい景色に出会うことが出来ます。自然に囲まれた道志みちで、解放感を味わいながら自分だけの絶景スポットを探し当てるのも楽しみです。ここ「野原の吊り橋」では爽やかな自然を感じることが出来ます。
▲バイクラックが備え付けられた公衆トイレ
▲国道413号で一番川の近くを走る道
▲爽やかな川の流れを横に自転車を走らせる
▲道の駅どうしに向かって緩やかな坂は続く
野原の吊り橋から5~6キロほど自転車を走らせると左手に公衆トイレが見えてきます。
バイクラックが備えられており、一息つくことが出来ます。何度となく道志みちを走っているトムがお勧めしてくれたのがこの「川と並走出来る道」。
「長い道志みちの中でも、川の一番近くで並走出来る場所がここ。川と並走するときには坂を登っていても心地よさを感じる。」とのこと。その後も、緩やかながらも長く続く登り坂。「自分のペースで楽しんで欲しい。」とトム。
▲バイクラックのある店頭
▲無料で貸し出している各種工具
道志みちのちょうど中腹、山中湖に向かって進むと、左側にサイクルサポートステーション道志みちがあります。こちらでは、バイクラックがある他、空気入れや各種工具を無料で貸し出しています。また、スマホの充電器や、軽食メニューでエネルギーの補充をすることも出来るため、サイクリスト同士の情報交換にはうってつけの場所です。
「サイクリストにとってありがたい場所。サイクリストを受け入れてくれていることに対して嬉しさを感じる。こういう場所がもっと増えると自転車を受け入れる社会が見えてくる。」とトム。
施設情報 住所:山梨県南都留郡道志村字神地向9311-1番地 電話:090-1766-1184
▲山伏キャンプ場を過ぎるといよいよ最後の試練
▲カーブを曲がっても続く坂道
▲トンネル前の最後の直線
道の駅どうしを過ぎ、山中湖に入る直前、実際のオリンピックテストイベントや本番のオリンピックでも最初の振るい分けがある予想される山伏(やまぶし)峠。「この登り坂がサイクリストにとって道志みちの最後の試練となる。」とトムは語ります。
「緩やかなに続いてきた道志みちの登り坂の最後の試練。最大勾配11%ではあるが、登り切ったと思って道を曲がるとさらに長い登り坂が現れ、心が折れそうになる地獄の登り坂。」しかし、トムこう言います。「登り切った先には天国が待っている。」と。
長かった急坂を越え、トンネルを抜けると一気に下り坂。今まで重く感じた足が嘘のように軽く、自転車はどんどん前に進みます。そして目の前には…
▲富士山を望む下り坂
まるで、「よく山伏峠を登りきったね」と語りかけるような富士山。「道を下りながらこの景色が見られるのも最高のご褒美。ここまで来たら、天国を満喫してから帰って頂きたい。」とトム。
▲パラソルが備えられたゆったりできる広場
▲バイクラックとベンチ
バイクラックと休憩するスペースがある、「ゆいの広場ひらり」。以前は、近くのコンビニエンスストアで食べ物を購入しても休憩するスペースがありませんでしたが、今では、サイクリストが集うそうです。
サイクリストの交流の場で、道志みちを越えた苦労や、道中の印象に残った景色について、ゆっくり語ることも出来ます。
▲湖を望む開放的なデッキ
山中湖村では、爽やかな湖の風を感じることが出来ます。トムがお勧めしてくれたのがこのお店「カフェ&オーベルジュ里休」。湖を望む開放的なデッキで、リゾート気分と共においしい日替わりランチやパスタを味わうことが出来ます。
▲里休での昼食パスタセット
この日食べたのはパスタセット(1200円(税別))。なお、サイクリストに嬉しい心遣いもあり「ごはんまたはパスタ1.5倍の大盛 150円(税別)」・「全て2倍量のメガ盛り500円(税別)」とその時の必要なエネルギー補給に合わせた増量が可能です。
施設情報 住所:山梨県南都留郡山中湖村平野2408−1 電話:0555-65-7870
▲山中湖とサイクリングロード
▲サイクリングロードを颯爽と走る
湖畔でも有名な親水公園。ここからは世界遺産富士山と山中湖を同時に楽しむことが出来ます。山中湖の湖畔はサイクリングコースが整備されているため、これから自転車を始めようと思っている方にとっても、安全で走りやすい素晴らしいコースです。
「道志みちを乗り越えたサイクリストにも、最高の景色を見ながら、天国を感じて欲しい。」とトムは語ります。
▲キャンティーコモ入り口
▲ミートソースLサイズ(1590円(税別))
山中地区にある、こちらもトムがお勧めしてくれたお店「キャンティーコモ」。写真はサイクリストに人気のLサイズのパスタ。
自転車で消費したカロリーを摂取するのに、Lサイズが喜ばれているそうです。キャンティーコモも湖畔沿いにありデッキからは愛車とともに、山中湖が望めるためリラックスして食事がとることが出来ます。
施設情報 住所:山梨県南都留郡山中湖村山中213−7 電話:0555-62-9010
▲山中湖サイクリングベースの全景
▲山中湖サイクリングチームのオリジナルグッズ
山中湖村をサイクリストの聖地にしようと日夜走り回っている(いろいろな意味で)山中湖サイクリングチームの拠点が平野地区にある「ダラスビレッジ」の隣にある「山中湖サイクリングベース」です。山中湖サイクリングコースや山中湖の周辺を走ろうとしている、初心者から上級者までの多くの方が集い、自転車について語り合える場所を目指して作られました。
「ここは山中湖シクリスムフォーマションのメンバーが日替わりでお店に立つので、気軽に立ち寄って欲しい。」とトムは語ります。サイクリングベース内には無料休憩スペースがあり、山中湖シクリスムフォーマション関連グッズ、自転車関連グッズを販売しているとのこと。また、クラブ会員を募集しており会員はトレーニングスペースやバイク整備スペースを利用出来る他、今後は宿泊スペースやウエイトマシーンの利用についても予定しているとのことです。
施設情報 詳細は後述
▲パノラマ台への上り坂
▲峠を颯爽と登る
▲パノラマ台からの格別な眺め
▲パノラマ台からみた山中湖と富士山
緩やかに山中湖の天国を一周した後、さらにもうひと頑張りしたい方は、パノラマ台がお勧めです。
登った後には、眼下に山中湖、その向こうに富士山を望める最高の景色が待っています。
▲パノラマ台から景色を眺めるトム
▲インタビューを受けるトム
最後にトムの自転車に対する想いを語って頂きました。「東京オリンピックテスト大会や東京オリンピックを通じて、ぜひ、「自転車」の魅力を感じて欲しい。今回紹介したコースのように、山梨県は世界遺産の富士山をはじめとした豊かな自然が多く、初心者から上級者のサイクリストまで楽しんで頂ける環境がある。見るだけでなく実際に走って感じて貰えれば、よりその素晴らしさを実感してもらえると思う。オリンピックを機に、もっと多くの方に「自転車」を楽しんで貰えると嬉しい。」とトム。
そして最後に「私は、自転車を通じて地域の新しい魅力を発見し、それが観光、教育、環境保護という様々な面で、新たな可能性の開拓に繋がるように自転車文化を広めていきたい。」と笑顔で語ってくれました。
今回トムと山中湖シクリスムフォーマションのメンバーと紹介した「道志みち」と「山中湖周回コース」。どちらもコースを走るだけではもったいないくらい、山梨の自然を満喫できる素敵な寄り道スポットにあふれています。
冒頭の画像は三国峠へのヒルクライムの後パノラマ台に向けて下る時に見ることのできるご褒美の景色です。東京オリンピックのロードレースコースを自分のペースで、自分だけの素敵なスポットを探しながら、走ってみるのはいかがでしょうか?
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参考リンク
ホーム > 山梨のオリンピックロードレースコースを走る~全力ペダルと絶景ご褒美~