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更新日:2022年4月13日
「ピーチ専科ヤマシタ」は、山梨市で桃やぶどうを栽培する農業法人。6ヘクタールの畑を管理し、栽培する桃の品種は50種以上。加工品として無駄なく果実を生かすことも得意とするほか、産地でしか味わえない桃やぶどうのスイーツを提供する夏季限定カフェ「ラ・ペスカ」は例年開店前から行列ができる人気ぶり。“地域に合った桃づくり”をモットーにほおばる人を感動させる果実・加工品をつくり続ける同社に、果樹の栽培と商品づくりに対する想いを伺いました。
採れたての“本物”の果物を使って加工品の生産をはじめたのは、今から20年以上前。きっかけは、生のまま販売できない桃やぶどうを捨ててしまうのは忍びないと思ったこと。
「私たちの原点は桃農家。宅配や贈答用など、生のまま販売するための果樹を栽培していました。けれど、とりわけ桃やぶどうはほんの少しキズがついていたり、大きさが少し小さかったりという“見栄え”の理由で販売できなくなってしまうことがあります。せっかく育てた桃やぶどうがダメになっていくのはどうしても心苦しい…。そこで、生のまま販売できなくなった果物をジュースにしようと考えました」
「ピーチ専科ヤマシタ」の歩みについて教えてくれたのは山下一二三さん。その頃はインターネット黎明期。オンラインでの販路はまだなく、スーパーやデパートなどに卸していたそうです。
「本物の桃を贅沢に使ったジュースというのは当時めずらしいものでした。ジュースに続いてジャムをつくるなどして加工品の種類を増やし、多くの方に喜んでいただいていました。それならば、採れたての新鮮な桃をそのまま食べてもらえるようにしたいとはじめたのが『桃農家カフェ ラ・ペスカ』でした」
適材適所にこだわり、風土に合った桃づくりを信念とする同社。桃やぶどうの栽培は農薬や化学肥料をなるべく使わず、人の手で丁寧に管理がなされています。
同社の加工品や「桃農家カフェ ラ・ペスカ」で使用する桃はすべてピーチ専科ヤマシタが育てた桃。シェラートやパフェ、フルーツサンドなど、カフェで提供する新鮮な果実を使ったスイーツたちは宅配・贈答用以外の“Bランク”とするものを使用しています。
「ジェラートは40種類以上。品種ごと、それぞれの味わいがそのまま生きたジェラートに仕上げています。桃は品種によって収穫時期が異なります。ですから、同じ時期に食べ比べることができない桃も、ジェラートなら食べ比べができる。色んな桃の味を知って、自分好みの桃を知るのも楽しいと思います」
こう聞かせてくれるのは、山梨が好きで2021年に移住をはじめた桃井円華さん。「ひとくちに桃といっても多彩。その種類の多さにも驚いていただけると思います」と続けます。
“ここで食べる”ことが難しくなっている現在、同社ではテイクアウトメニューの充実も企画しているそう。
「一年中、産地の美味しい桃を楽しんでほしい」と開発され、オンラインで人気を集めているのが『ピーチパイ』。採れたての桃をコンポートにしてフィリングをつくり、自社で丁寧に焼き上げるこだわりの商品です。
「とろりとまろやかな桃をサクサクのパイ生地で包みました。白桃と黄桃の2種の桃をつかって仕上げるコンポートは、甘すぎず上品な味わい。桃が新鮮なうちにしっかりと仕込んで急速冷凍し、保存します。そのあとパイにする際にじっくりバターとフィリングにして、一つひとつパイ生地に手づつみ。手間と時間をかけた逸品です」
熱々に温め、濃厚な「八ヶ岳ミルクのジェラート」と一緒に食べるのが桃井さんのおすすめ。
いずれの加工品も『よりお客様に山梨の美味しいフルーツを楽しんでいただきたい』という気持ちから、こだわりを持ってつくっています。桃は、隅からすみまでカタチを変えて美味しくできます。桃農家として品質の良い桃をつくり続けることはもちろん、時代に合ったフードメニューの開発にも力を入れていく予定です」
■今回ご紹介した企業情報
・企業名:ピーチ専科ヤマシタ(https://www2.momo-net.co.jp/(外部リンク))
・取締役:山下一二三(Hifumi Yamashita)
・施設住所: 〒405-0032 山梨県山梨市正徳寺1131
◎この記事を書いた人
小栗 詩織(おぐりしおり)
コピーライター/2015年10月よりフリーランスとして活動。県内外の企業の広告企画・SNS運用・コピーライティングに携わる