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更新日:2022年10月11日
かつて甲府盆地を走る私鉄の路線がありました。山梨交通電車線といい、通称「ボロ電」として親しまれていました。開業時に新型車両を導入したのにも関わらず「ボロ電」と呼ばれたのは、社屋や駅舎がボロかったからと言われております(笑)。
甲府駅南口の山梨交通ビルがある場所にかつて「甲府駅前駅」があり、甲斐青柳(現富士川町)までの20.2キロ、28駅を結ぶ単線。1930年に営業を開始し、最盛期には年間300万人を運びましたが、マイカーの普及に押され1962年に廃線となりました。
廃線跡は道路になり、山梨交通の路線バスが同じ経路を走っておりますが、朝夕の渋滞は激しく、SDGsを求められる今、鉄道が残っていれば利用者も多かったはずで、県の西部から甲府市内へ通勤通学する者の良い足になっていたと思われます。
今年は廃線からちょうど60年。その節目に合わせ山梨交通がこの場所に記念碑を建立し、先日その除幕式が行われました。
同社の雨宮正英社長は「コロナ禍による利用者の減少や燃料の高騰で公共交通は苦境だ。地域の足を守るため、少しでも多くの方に利用してもらえるきっかけにしたい。」と話していました。
記念碑の横には同社の観光バスと路線バスがデザインされた自動販売機があります。清涼飲料水の自動販売機ですが、その中で「鉄印」が販売されていたので、早速購入。缶コーヒーと同じサイズの瓶の中に鉄印と当時使われていた紙の切符(レプリカ)が入っています。ちなみに瓶はよく冷えていました(笑)
記念碑の横にある自動販売機
ここで、御朱印の鉄道版「鉄印」が購入できます
よく冷えた瓶に入っている
「鉄印」(写真左)と当時の乗車券のレプリカ(写真右)
※こちらのツアーは、好評につき募集を終了しました。
山梨交通ではボロ電の軌跡を辿る旅を催行します。
10月19日(水)と10月22日(土)、記念碑前をスタートし、旧電車線跡をレトロなバスで走り、同社の雨宮正英社長によるボロ電の歴史に関する特別講演と、実際に使われていた車両を見学します。1日の小旅行でお弁当が付いて8,800円ですが「全国旅行支援」を適用すれば5,280円とオトク。
折しも今年10月14日は鉄道開業150年の記念日。この機会にボロ電の軌跡に触れるとともに、公共交通について考えてみませんか!
取材・文/中村(洋)