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更新日:2022年6月28日
新型コロナウイルスの影響で、2年ぶりの開山となった富士山。今年は、各山小屋で宿泊人数を減らし、換気や間仕切りなどの感染症対策を実施するほか、withコロナ時代の新しい富士登山のマナーを作成し登山客を迎えています。吉田口登山道は、16軒の山小屋が登山客を迎えているほか、7合目と8合目には救護所があるので、高山病など体調不良の場合でも心強いです。今回は、登山客の少ない平日に、7合目で1泊し、2日かけて富士山を登りました。夜は満天の星空、明け方は御来光を堪能し、山頂では、コロナ終息と世界中の皆の幸せを祈願してきました。平日1泊2日の余裕ある快適な富士登山のススメをご紹介します。
富士山五合目総合管理センター付近にて、検温および体調確認を実施しており、ここで「富士山入山前体調確認自己チェックシート」を提出して、富士山保全協力金を支払い富士登山のスタートです。
1合目下駐車場で検温(マイカー規制前)
富士山保全協力金受付所
呼吸を整えながら、マイペースで徐々に高度を稼いでいきます。2時間程度で、事前予約した7合目の鎌岩館に到着。小屋にチェックイン後、荷物を軽くして富士山頂を目指します。鎌岩館から富士山頂までは、往復で約6時間。登山客で登山道が渋滞するというコロナ前の従来の富士登山のイメージとはかけ離れるもので、全体を通して登山客は少なく、余裕のある快適な登山をすることができました。
6合目 深呼吸して一息
7合目の山小屋が見えてきます
8合目へと高度を稼ぎます
先の登山道を見ても登山客が見あたりません
下山道を見下ろしています。登山客は数える程度見えます
9合目を目指します
山頂が見えてきました
頂上浅間大社で祈願
山頂からの展望
下山道。雲の上を歩いています
夜は、晴れていれば、満天の星空を見上げ、流れ星を見ることができるでしょう。翌朝4時半ごろに御来光、山中湖の奥から登る太陽が地面から浮き出るように現れ、湖面が太陽光で輝くなど幻想的な光景を見ることができました。小屋で御来光を楽しんでいた家族連れもとても喜んでいる様子でした。今回は、1日目に山頂まで行きましたが、翌日の2日目に早く出発して富士山頂で御来光を望むのも良いでしょう。
満天の星空 天の川が見えます
登山前の体調管理や少人数での登山、山小屋は事前に予約するなどの「withコロナ時代の新しい富士登山の15のマナー」があります。また、各山小屋では感染症予防対策に係る基準や感染症対策ガイドラインに準拠し、各々の小屋の実情に合わせた対策を講じています。
今回、宿泊した鎌岩館は、7合目、標高2790メートルに位置する、綺麗であたたかい雰囲気の山小屋です。個室と小部屋を完備するほか、感染症対策として2021年リニューアルし、ドミトリータイプとシングルルームを新設しています。1人辺り90cmの間隔があり、快適に眠ることができます。この館に2室だけある「眺望 御来光の間」は部屋から御来光が望める開放的なお部屋で人気があるほか、4名定員の個室はファミリー層に人気とのことです。
ドミトリータイプの部屋
シングルルーム
2~4名のファミリーに人気の個室
2名定員の小部屋
眺望 御来光の間
ドミトリーの部屋
チェックイン時は、手・指の消毒、検温を実施後、タブレットで映像による館内案内の説明を聞きます。寝室と寝具は、高濃度オゾン発生装置により殺菌するほか、はしごや手すりなどのお客様のよく触る部分には除菌フィルターを貼っています。ドミトリータイプや小部屋などの全てのカーテンは、90分程度で除菌可能な特殊なカーテンを設置しています。食堂は、テーブルにアクリル製のパーテーションを設置するほか、サーキュレーターや高性能空気清浄機、天井にファンを設置するなど、換気設備を完備し感染症対策を徹底しています。寝袋用首元カバーや織布枕カバーが無料で配布されるのは安心で嬉しい。
アルコール消毒をします
検温します
登山靴はビニール袋で各自保管します
2022年はオリジナルクリアしおりを配布しています
タブレットの映像で館内案内を聞きます(約5分)
食堂全景 換気設備が充実しています
鎌岩館 社長:岩佐克圭さん
鎌岩館では、「疫病退散 アマビエ」の焼印を押すことができます
夕食の牛丼定食
動物性原材料不使用の野菜カレー
新型コロナウイルス感染症の影響で登山客が遠のいてしまった富士山。コロナ前は、「登山道は渋滞し、自分のペースで歩けない」、「山小屋の寝室は知らない登山客と密接してぐっすり寝れない」というイメージがありましたが、そのイメージを払拭するほど、登山道の静かな富士山であり、ソーシャルディスタンスでパーソナルスペースが確保された快適な寝室の山小屋でした。山小屋関係者の話によると、特に、平日の月曜日から木曜日は登山客が少ないとのことです。
ゆったりと過ごせる山小屋で1泊して、富士山から望む満天の星空や御来光を心ゆくまで堪能しながら大自然を満喫するとともに、行動時間に余裕のある登山をすることは、新しい富士登山のスタイルになるかもしれません。この夏、「withコロナ時代の新しい富士登山の15のマナー」を守って、ゆったりとマイペースで登る快適な新しいスタイルの富士登山を体験するのはいかがでしょうか。
取材・文/小川
御来光を目的に夜間に富士山五合目に到着し、山小屋に宿泊せずに 一気に山頂を目指す登山行程を「弾丸登山」と言います。弾丸登山は、十分な休息をとらずに短時間で高度を上げることにより、高山病を発症しやすくなり、体調不良に陥るリスクが上がります。無理のない計画をお願いします。宿泊する場合は、各山小屋へ事前にご予約し、山小屋へは余裕を持って到着するようにしてください。
富士登山の詳細については、下記ページをご覧ください。