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更新日:2021年12月27日

キツネファームサムネ

「比較できない、それがサフランの味」甲府のサフラン農場・キツネファーム

甲府市でサフランを栽培し商品開発を行う「キツネファーム」。2015年に栽培を始めて以来、農薬や化学肥料を使わない自然農法を徹底し、環境を生かした生産体制をつくりあげてきました。発起人は「純粋たる甲府のお土産を作りたかった」と話す峯岸一郎さん。峯岸さんは、私たちが知らないサフランの魅力についてたっぷり教えてくれました。

生命力に感動した日のこと

 サフランと聞いて、どんな味や料理を思い浮かべるでしょうか。

 「黄色いサフランライス。おそらく多くの人がそれ以外のイメージを持てないのではないでしょうか。スパイスとしての印象が強いですよね。サフラン、もともとは生薬として使用されてきたものだったんですよ」

キツネファーム

 

江戸時代のものという書籍や昭和に使用されていた薬箱を手に取りながらこう教えてくれるのは、キツネファームの峯岸さん。2015年から甲府市増坪町でサフラン栽培を行い、『甲府之証 認定10号』として甲府市が推奨する逸品に選出され、またシェフに読まれている月刊誌「2020年料理王国100選」にも選ばれいくつものサフラン商品を展開しています。

「もともと私は家業として製造業を営んでいました。そしてちょうど会社が50周年を迎えるタイミングで、リーマンショック。“日本の製造業はもうダメだ”とまで言われた厳しい時代です。当時、私にも焦りがあり、何かしなければと思っていました。

ふと周りを見渡せば、子どもの頃田んぼだった場所に田んぼはなくなり、どんどん自然が失われている…。そんなことに切なさを覚え、環境や自然のことを考えるようになっていた時にたまたま目にしたのが『サフラン』を特集した番組です。なんとなく興味を持ち、その日にインターネットで球根を注文しました」

注文したサフランの球根が自宅に届いても、すぐにダンボールの箱を開いていなかった峯岸さん。しばらく経ち、忘れた頃に開封した時の感動は今も忘れられないと聞かせてくれます。

「真っ暗なダンボール箱の中、ネットに入れられた球根から芽がニョキニョキと出ているんです。その、生きようとする姿、「生命力」に私は涙を流してしまった。花を咲かせてやりたいと思い、それからはもうあれこれと手を尽くしました」

キツネファーム

 縁あって

  サフラン栽培をはじめると決めた峯岸さん。しかし、求める情報はインターネットや書籍ではなかなか見つかりません。そこで、峯岸さんは実際に栽培している地域を訪ね、生産者に会うことを決めます。

「まずは日本のサフラン栽培で有名な大分県竹田市を訪ね、当時のJAの組合長の大塚様に会いました。実際に畑を見せていただいたときは圧巻の一言。大塚組合長には大変お世話になり、JA竹田の皆様はじめ、球根栽培の基本をご教示いただきました」

11月に花を咲かせたサフランの雌しべを手作業で摘み取ったあと、その年の12月後半までに植えた球根は、再び5月掘り起こし、同じように花を咲かせて雌しべを採取します。

「教えてもらった通りにやってみると、本当にできるんですよね。ただ、大分と山梨では環境が違います。山梨県で生産を安定させるための栽培方法を模索しました。それと、サフランのことをよりよく知るために第一人者でもある、長崎国際大学の名誉教授正山征洋先生のところに会いに行くこともありました。

キツネファーム

 

知れば知るほどサフランは面白い。日本での栽培は明治時代に神奈川県大磯町の添田辰五郎さんから始まったという文献がありますが、その日本のサフラン栽培の歴史の流れの中に自分もいて、いろんな人の思いを受け継いで、今も続けられていると思うともう簡単にはやめられませんよね」

 

こう話し、穏やかに笑う峯岸さん。峯岸さんのサフラン栽培は、雇用を創出したり、近隣の様々な方からパートナーシップの誘いがあったり。今も変わらず注目を浴びています。

 

サフランをもっと身近に

キツネファーム4

 

キツネファームが展開する商品は、乾燥サフランはもちろん、お茶やキャンディーなど手に取りやすい形になっているのが特徴。

「美味しく美しいサフランで世界に明るさと笑顔、そして健康をお届けしたいと思います。そのために、まずは手にとってほしいと思いました。そこで、日常の中で気軽に楽しめるお茶やキャンディーをつくりました。購入して、カバンの中にもさっと入れて持ち歩ける大きさとし、お土産にも利用してもらえるようにと考えました」

キツネファーム

 

パッケージもおしゃれな乾燥サフランは、パエリヤからスープ、デザートまでオリジナルレシピ付き。すべて色の安全を第一に、化学肥料を一切使用せずに栽培されたサフランからつくられています。

「胸を張れる甲府のお土産を作りたかった。今後はスパイスの利用としてだけにとどまらない、サフランの利用方法についても思案中です。歴史や人の縁があっての甲府のサフラン。地元に新しい名産品をつくりたいですね」

 

■今回ご紹介した企業情報

・企業名:キツネファーム(https://kitsune-farm.com/(外部リンク)

・農園長担当:峯岸一郎(Ichiro Minegishi)

・施設住所: 400-0832 山梨県甲府市増坪町734-6

 

◎この記事を書いた人
  小栗 詩織(おぐりしおり)
  コピーライター/2015年10月よりフリーランスとして活動。県内外の企業の広告企画・SNS運用・コピーライティングに携わる

 

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