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更新日:2024年6月4日
美しい渓谷が多い山梨。とくに春の新緑や秋の紅葉の時期は、渓谷でのハイキングやトレッキングが人気です。山梨の渓谷めぐりで心身のリフレッシュをしてみませんか。
今回紹介する西沢渓谷、川俣川渓谷、大柳川渓谷は、小学生以上であれば子どもでも歩けるくらいの難易度なので、家族連れにもおすすめ。天候や場所によって歩きづらいこともあるので、登山に準じた服装や登山靴ででかけましょう。散策後に立ち寄りたい温泉や食事スポットも充実しています。
秩父多摩甲斐国立公園内に位置し、国内屈指の渓谷美を誇る西沢渓谷。4月末に山開きがされ、5月にはシャクナゲが見ごろを迎えます。10月中旬~11月上旬の紅葉シーズンには、イロハモミジの鮮やかな赤色とコハクウンボクの黄色が華麗なコントラストをみせ、多くの観光客を魅了します。
つぼみは濃いピンク、咲くと淡いピンク色のシャクナゲ
新緑や紅葉の季節はひときわ人気の西沢渓谷
コースは1周約10km、所要時間は4時間前後~。西沢渓谷は、川底の花崗閃緑岩(かこうせんりょくがん)に太陽の光に当たることで、水面がエメラルドグリーンに輝いているのが特徴。点在する大小の滝の滝つぼは、とくに色が深く神秘的です。森は数百種類の植物に彩られた自然の宝庫で、水の音や鳥のさえずりが心地よく耳を癒やします。約50分歩くと、1つめのハイライト「三重の滝」が現れます。ここまではアップダウンが比較的少なく、ここで折り返すこともできます。
三段になっている「三重の滝」。滝前には観瀑台も
「三重の滝」より先は岩や石が多く、濡れてすべりやすい箇所もあるので、靴などの装備は万全に。足元にはさまざまな山野草も見られます。「三重の滝」から1時間ほど滝や奇岩を見ながら進むと、「日本の滝百選」にも選ばれたコースの目玉である名瀑「七ツ釜五段の滝」に到着。(現在は通行止めのため近くでご覧いただくことはできません。)滝の手前にある「方丈橋」の上は、コースの中でもマイナスイオンが多く計測されている場所ですので、ぜひ深呼吸を。
道幅が狭い所や岩や石がある所もあり、登山に準じた服装を
「方丈橋」を渡れば「七ツ釜五段の滝」はすぐそこ
すぐ先にある西沢渓谷終点は標高1370メートルで、入り口とは300m弱の高低差。折り返し地点となるこの場所には、昼食をとれるベンチもあります。帰りは渓谷道を離れ、山道(旧森林軌道)へ。かつて木材の輸送のために使われたトロッコの軌道跡で、ところどころにレールが残っています。
西沢渓谷では、山梨市役所観光課へ依頼して、同行ガイドを頼むこともできます(ガイド料:8名につきガイド1人…5,000円)。現地を熟知したガイドの案内があれば、登山初心者も安心。さらに植物の名前や山の歴史などを教えてもらいながら歩くと、何気ない風景も生き生きと輝いて見え、歩く楽しさが倍増します。
三富村と塩山駅間を木材や生活物質を運んでいたトロッコの展示も
復路の山道は整備されていて歩きやすい
周辺には立ち寄りスポットも多数。西沢渓谷の入り口にある「道の駅みとみ」には食堂や売店があり、登山者の拠点になっています。バス停が近いのは、日帰り温泉「花かげの湯」やボリューム満点の天丼が有名な「お食事処はくさい」。車なら、日帰り入浴もできる温泉旅館「三富温泉白龍閣」や八ヶ岳山麓のそばを使った「そば丸」まで足を伸ばしても。
食堂や特産品がそろう売店がある「道の駅みとみ」
【渓谷情報】
「西沢渓谷」山開き・田部祭を開催します! - 山梨市観光協会(外部リンク)
※遊歩道は冬期閉鎖あり(12月1日~4月28日:積雪等の状況により前後する可能性があります)。
八ケ岳から流れる川俣川沿いの遊歩道を歩きながら、トレッキングを楽しめます。豊かな緑のなかに大小の滝や奇岩が現れ、変化にとんだ景観を楽しめます。
ルートは大きく3つ。1つめは吐竜の滝駐車場を出発し、観光施設「清泉寮」までを往復するルート。ハイライトの「吐竜の滝」は、岩のあいだから絹糸のように水が流れ、優美で神秘的です。途中の清泉寮では食事もでき、名物の絶品ソフトクリームもぜひ。ルートの所要時間の目安は約1時間40分です。
整備された遊歩道。吐竜の滝より上流は準登山の準備を
清里のシンボル。清泉寮本館。ショップやレストランも併設。
2つめは、東沢大橋と清泉寮を往復するルートです。東沢大橋は“赤い橋”の通称で親しまれ、八ヶ岳を背景に写真を撮れる格好の撮影スポットです。所要時間は約2時間40分です。
バスを利用して訪れるなら、東沢大橋から清泉寮へ行き、そこから吐竜の滝をめざして、吐竜の滝駐車場へ抜ける3つめのルートもあります。所要時間は約2時間10分。バス停は、東沢大橋と吐竜の滝駐車場の近くにあります。
トレッキング後は日帰り温泉「甲斐大泉温泉パノラマの湯」で、八ケ岳や富士山をのぞむ絶景パノラマを見ながらくつろぐのもおすすめです。
新緑と赤い橋のコントラストが見事
【渓谷情報】
大小10本の吊り橋と5つの滝を楽しめる大柳川渓谷。整備された遊歩道があり、子どもからお年寄りまで気軽にハイキングを楽しめます。
出発は大柳川渓流公園から。しばらく遊歩道を下ると現れる、階段状の珍しい橋「竜神橋」には、中央にテラスがあり、美しい渓流を見渡せます。さらに進むと、途中で“く”の字に曲がると珍しい吊り橋「竜仙橋」が見えてきます。
気軽な「のんびり散策コース」なら、竜仙橋からそのまま天渕橋方面へ。体力に余裕があれば、竜仙橋から分岐する延長コース「気合いの滝めぐりコース」へ進み、滝めぐりもあわせて楽しむのがおすすめ。岩の凸凹によって滝に5つの段がついた「五段の滝」や滝見台からしか見えない「幻の滝」を周り、約1時間で再び竜仙橋に戻ってきます。トータルでは約2時間の行程です。※「気合いの滝めぐりコース」は、急な上り坂や足元の悪いところが多くありますので、通行には十分ご注意ください。小さいお子様やお年寄りの方には、「のんびり散策コース」をおすすめしています。
眺望抜群のテラスのある竜神橋
「気合の滝めぐりコース」で見られる五段の滝
散策後に立ち寄りたいのが、駐車場近くの「つくたべかん」。食事処が併設されており、富士川町十谷の集落に伝わる郷土料理「みみ」(農具である箕の形をしたほうとう)がセットの「みみ御膳」も味わえます(前日までに要予約)。このほか大柳川渓谷沿いには、食事処併設の日帰り温泉「甲州鰍沢温泉 かじかの湯」があり、温泉成分の濃い「療養泉」で策の疲れをほぐせます。
ここでしか味わえない特製メニュー、みみ御膳