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更新日:2021年3月25日
南アルプスを望む、名水の地・白州。白州を流れる尾白川は、その昔尾の白い神馬が住んでいたという言い伝えが名前の由来ともいわれています。この水を利用し、約300年の歴史を刻んだ銘酒、それが七賢。山梨銘醸は、古い町並みを残す旧甲州街道の「台ケ原宿」というかつての宿場町にあります。江戸時代に栄えていたこの街は、まるで何百年も前にタイムスリップしたかのような雰囲気を醸しています。街道沿いにある山梨銘醸もまた、風情溢れる佇まいが魅力的。古きよきものと斬新で新しい発想を融合した山梨銘醸の取り組みは、丸みのあるすっきりとした「七賢」の味わいを通じて、確かな伝統の上に息づく新たなる息吹を感じさせてくれます。長い歴史と受け継がれてきた伝統は回顧するのではなく、未来の開拓のためにあるのだと教えてくれるでしょう。
山梨銘醸は寛延三年(1750年)に創業し、甲斐駒ヶ岳の伏流水が湧き出る白州の地で約300年にわたり、酒造りを営んできました。築180年余りの趣のある酒蔵の歴史的木造建築に思いを馳せながら、広大な敷地を歩くのもまた醍醐味の一つです。
築180年余りの趣ある酒蔵
行在所見学ツアーやショップで試飲も
また、明治13年に明治天皇が山梨を巡幸された際に行在所となった場所でもあり、明治天皇がご一泊されたお座敷が当時のままに残され、見学することができます。こちらのお座敷は、もともとお殿様の宿泊のために使われていたこともあり、お供の者が槍をもって立っていられるようにと天井が高くつくられていました。中庭には樹齢不明の立派な赤松の木がそびえ、江戸時代から明治時代にかけての格式高い建築がとても美しく、明治天皇ゆかりの品々などと共に見ることができます。また、奥座敷には酒銘「七賢」の由来になったという、内藤駿河守より拝領した「竹林の七賢人」の欄間も残されています。
【行在所見学について】
ご希望の方はホームページ、または0551-35-2236までお問い合わせください。
明治天皇がご宿泊された格式高いお座敷
酒銘の由来となった「竹林の七賢人」の欄間
類いまれな天然の恵み、白州の水にほれ込み、酒蔵を開いた山梨銘醸が目指すのは、「白州の名水を体現できる酒」。「酒造りの命ともいえる、米・麹・水を同じレベルでとらえるのではなく、あくまでも水が中心となって、水との関係性から米や麹、麹菌を考えています」とは、醸造責任者である北原亮庫さん。「白州の水はテクスチャーが驚くほどやわらかく、キレが心地よく、口の中ですぅっと馴染んでいく…この水とどう向き合って、どう酒造りに取り入れていくのか。どうすれば力を引き出せるか」。この壮大な問いにとことん取り組み、試行錯誤を繰り返してきました。
作業工程を効率よく丁寧にチェック
お酒がうぶ声をあげる麹室
その中でキーワードとなったのが「継承と革新」。
「必要なことは変える。振り返ればその時代だって、少しずつ変えてきているからこそ、続いているんですよね。変革の大きさやスピード感が違うだけであって、革新がなければ継承はできない。常に求められているものに新しい価値を見出さなくてはと思います」(北原亮庫さん談)。
地元の名水に、今までの七賢の酒造りを合わせにいくということ。これには、大きく変えなければならないことも多く、想像以上の覚悟と勇気が必要になります。「兄弟二人で、それぞれプロフェッショナルな違った立場で目標を共有し、切磋琢磨できるのが最大の強み」という亮庫さん。「“伝統工芸”という切り口で、モノを創り出すんじゃない。酒というジャンルで僕は見ていません。絵画を描くように、作品を楽しむように酒造りをしています」。
自ら醸造責任者として酒造りの現場に携わる亮庫さん
地元で採れる名水を受け入れることが革新の第一歩
お洒落なテイスティングカウンター
きき酒できるお酒の種類も豊富
七賢を代表する、丁寧な仕込みと地元の米が自慢の「天鵞絨の味」が愛され続ける一方で、突き抜けた七賢スパークリングが話題を集め、今や新たな七賢の代名詞に。中でも、同じ白州の水を使い、同じ空気を吸って寝かせられたウイスキー樽を利用したスパークリング日本酒「杜ノ奏」は、日本酒の新境地を切り拓きました。ゼロからの豊かな発想と綿密な醸造設計、変わらない蔵人の愛情と根気、そして確かな伝統の歴史と技術が、これからの「七賢」を担い、進化させていくことでしょう。
定番の純米吟醸と新定番のスパークリング日本酒
フランスで行われた日本酒コンクールで数々の賞を受賞
先輩方が培ってきた技術の上に、新たな感性をプラスすることで、飲む人を感動し続けられるよう、造り手としてこれからも、この地元の名水と向き合っていきたいと思います。それには生み出す人がワクワクして、おもしろがってやること!例えば、北杜の一酒蔵がきっかけで、世界的なフレンチレストランとも繋がる…そんな思いもよらないことにチャレンジしていくので、どうぞ期待してください。
山梨銘醸株式会社 醸造責任者 北原亮庫さん
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