甲府郊外ののどかな地域で、「土方洋蘭いちご園」を営む、土方真一さん。ここは元々50年以上の実績を誇る、日本でも最も古い洋蘭栽培農園です。いちご狩りブームの流れに乗って、いちごの栽培が始まりました。「栽培は主に家族で行っています。うちの農園は何といっても味重視。お客様とも顔の見えるやりとりをしているので、逆にごまかしも効きません。いちごは全て完熟で出すようにしています。農園まで歩いて30秒、早採りの採れたてを3分で出荷できるのが強みです」と土方さん。

農園カフェでスタッフとして働く、岡みつ江さんと橘田知恵さん。岡さんはこの農園に20年以上長く携わっており、メニューのアイディアも考案しています。カフェの運営は初心者だったので、一年くらい試行錯誤が続いたとのこと。「最初の頃はイチゴ狩り帰りや花を買いに来たお客さんに食べてもらい、一人一人に意見を伺って参考にしていました。かき氷から始まって、気づいたらジェラートにパフェにと、少しずつメニューが増えていきました。最近は口コミで来てくれるお客さんも多く、おいしいと聞いたから寄った、と言われるのがすごく嬉しいです。ご家族で何度も来てくれたり、学生さんやツーリングの方も。いちご農家だからこそ、いつも新鮮でおいしいいちごを提供していきたいと思います」

土方洋蘭いちご園では、水耕栽培を行なっています。特徴的なのは、通常なら専用の設備をメーカー任せで作ってもらうことが一般的なのですが、ここでは自分たちで工夫しながら手作りした設備を使っているため、状態を見つつ、より細やかないちごのケアを行なっていること。病気や虫にも気を使うけれど、減農薬で殺虫剤は使用せず、できるだけ人間の体に影響のないものをと心がけているそうです。「いちごはデリケートで湿気にも弱い。山梨は日照時間が長くからりとした気候なので向いていると思います。またこの地域はきれいな水が豊富で、私たちの農園内にも井戸が二つあり、その地下水を水やりに使っています」