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更新日:2023年8月7日
絶品グルメや心癒す美しい景色、珍しい体験など、旅先で待っているさまざまな出会い。
その思い出を残すために、多くの方がスマートフォンのカメラを使っているのではないでしょうか。
昨今のスマートフォンのカメラは標準機能でも美しく撮影できる性能を持っていますが、少しテクニックを加えるだけで、より感情のこもったオリジナリティ溢れる写真を撮影することができます。
今回は、山梨県内のフォトジェニックなスポットを例に、プロのフォトグラファーがスマートフォンで上手に旅写真を撮影する方法をレクチャー。
楽しい旅行のワンシーンを、とっておきの1枚としておさめるテクニックをご紹介します。
目次 |
写真を美しく撮る上で重要となるポイントは、「構図」「自然光」「明暗」「ロケーション」の4点。これらを意識し調整を加えることで、ガラリと印象の違った写真に仕上げることができます。
教えてくれたのはこの人 Photographer 料理やグルメロケから人物写真まで、幅広いジャンルで活躍する若き女性フォトグラファー。陰影を生かしたニュアンスのある写真に定評がある。 |
基本(1):構図を工夫する
写真を撮る上で「構図」を考えることは基本中の基本。まず、縦と横のどちらで撮影するのかにはじまり、メインの被写体をどこに据えるか、接写で撮るのか、広角で撮るのかなど、構図を決める際はさまざまな検討事項があります。構図に迷ったときは、“その写真で一番表現したいモノ・コトは何か”を考えるのがおすすめです。
基本(2):自然光を利用する
日中の太陽光は優れた照明になります。また、自然光の場合、光が当たる場所と影になる場所が偶然に発生し、より趣ある印象を演出してくれます。さらにおしゃれな写真に挑戦したい時は、逆光を利用して被写体をあえてシルエットにするという手法もあります。
基本(3):明暗を意識する
日没後や室内で撮影するときは、スマートフォンのカメラに搭載されている「明暗調整」の機能を使うのがおすすめ。カメラアプリを起動して撮影画面が表示されたあと画面をタップすると「☀」のマークが表示されるので、そのマークを上下に動かすだけで画面全体の明暗を変更することができます。
※スマートフォンによって機能が異なる場合あり
基本(4):ロケーションが分かるように
旅先で撮影する際は、その土地らしいポイントを取り入れると、より旅行感を盛り込むことができます。しかし、その場所を代表する風景や特産品、建物などをまんべんなく撮影しようとすると、パンフレットに掲載されている写真のような平面的な写真になってしまうことも。そんな時は、構図に強弱を付けると立体的で動きのある印象を演出することができます。
撮影場所:Katsunuma縁側茶房
ぶどうのピザ1,000円、すもものソーダ水600円
旅の思い出に欠かせないのが、やっぱりグルメ。地元で人気のカフェやレストランに立ち寄ったり、その土地でしか食べられないご当地グルメを食べ歩きしながらの観光は、まさに旅の醍醐味ですね。旅先で出会った料理は、まわりの景色と共に美しく写真に残しておきたいもの。料理をおいしそうにきれいに撮るには、やはり明るさがポイントです。屋外なら自然光×アングルのテクニックで、プロのような写真も夢ではありません。
今回は、山梨県甲州市勝沼町にある農家直営の古民家カフェで、一番人気のぶどうのピザを背の高いグラスとともに撮影するシチュエーションでの撮影をレクチャーします。
このように高低差があるものを両方がよく見えるように撮影すると、どうしても上からのアングルで引き気味の写真になり、おもしろみに欠けてしまいがち。そんな時は背が高いグラスを手前に少し見切れるくらいに置いて撮影すると、イメージよりの写真が完成します。また、料理を箸上げして、グラスとの高低差を縮めると、臨場感のあるシーンに。
単なる記念撮影ではなく、そこで過ごした時間や空気まで感じられる、物語のある写真を撮れるといいですね。
Before
上からの構図で引き気味に撮影すると、料理はよく見えますが、少しつまらない仕上がりに
After-1
画角を狭くとることで、イメージカットのような写真になります
After-2
箸上げで高低差を縮め、動きのあるカットにチャレンジしてみましょう
被写体の正面からまんべんなく光が当たる順光での撮影は、光が全体に回るので明るく、色がきれいに出ますが、その分のっぺりとした記録写真のような雰囲気に。あえて影が出ている場所で、影の模様を入れてみたり、陰影を利用して光の当たり方などまで考慮したりすると、料理にシズル感や立体感が出ます。
また、時には逆光を生かして撮影してみると、光と影がきれいに出て柔らかな雰囲気の写真に仕上がったり、思わぬ陰影で透明感のあるドラマティックなシーンになったりと、意外な発見があるものです。逆光を味方につけて、スペシャルな旅の思い出を残しましょう。
Before
順光での撮影は「明るくきれいに」は撮れても、立体感のない記録写真のように
After
逆光を上手に利用すると、適度な明暗差ができ、写真に立体感と開放感をプラスできます
勝沼のぶどう畑が広がる中に佇む、ぶどう農家直営の古民家カフェ。“縁側茶房”という店名の通り、店内はなく、縁側にテーブルと椅子を出し、ほっこりとくつろぐスタイル。ぶどう農家ならではのぶどうのピザやぶどうのパフェなどが味わえます。
撮影場所:ルミエールワイナリー
旅行先で訪れた場所は、キレイな写真で記録に残しておきたいもの。しかし、施設によっては暗すぎたり構図を決めるには難しい配置になっていたりと、撮影者を悩ませるスポットも少なくありません。そんな時も、アングルや撮影機能を少し工夫するだけで、写真のクオリティを劇的にアップさせ、ドラマティックに表現することが可能です。山梨県への旅行先として人気のワイナリーを例に、シーンごとの撮影ポイントを伝授します。
ワイナリー見学で入ることができるワインセラーは、普段お目にかかれない場所だけに、絶対写真におさめておきたいスポット。しかし、本来セラ―は観光客用のスペースではなく、ワインの熟成の妨げにならない程度の仄暗い照明になっていることがほとんどです。
こういった密閉された暗い場所は、フラッシュではなく、スマートフォンに搭載された「明るさ調節機能」を使うことで、空間の雰囲気を壊すことなく撮影することができます。
Before-1
明暗を調節せず撮影すると、全体的に暗く不気味な印象に
Before-2
フラッシュ機能を使用すると、明るくはなるものの、全体が青白くなり趣が感じられません
After
適度な明るさに調節すると、空間の雰囲気を残したまま被写体を鮮明に撮影することが可能に。さらに、撮影後に編集機能にある「色温度」や「暖かみ」といわれる項目で色味を暖色寄りに調整すると、ニュアンスがある写真に仕上がります。
観光施設の中には、多くの人が撮影したくなる、いわゆる『映えスポット』が存在するところも多くあります。その場所をシンプルに撮影するのも良いのですが、構図に強(一番目立たせたい被写体)弱(その他の被写体)を付けることで、より個性溢れる写真に仕上げることができます。
また、強と弱を明確にすることで、ご自身がそのシーンで最も魅力的に感じたモノやコトを写真の中に表現することも。
Before
複数の要素(ワイングラス・樽・窓からの景色)をまんべんなく盛り込もうとして遠目から撮影すると、味気ない仕上がりになってしまいがち
After
主役の被写体を決め、その他の要素はほんのり存在を感じさせる程度に写り込ませると、ダイナミックで個性的な印象を演出することができます
旅行先で写真を撮影するうえで、「どこへ行ったのか」が分かるようにすることは、最も大切なことのひとつ。しかし、その場所をフラットに撮影すると、宣材写真のようなかしこまった印象になりがちです。構図の中にその土地を象徴するものを大胆に取り入れることで、記録にも記憶にも残る、唯一無二の写真を撮影することができます。
Before
施設全体を広角で撮影すると、パンフレットに掲載されている写真のような固めの印象に
After
施設の看板やシンボルなどをメインに据えることで、訪れた場所がひと目で分かると同時に、インパクトのある仕上がりになります
”本物のワインを造るには、本物のブドウを育てること”という創業当初からの教えのもと、100年以上高品質のワイン造りにこだわり続ける老舗ワイナリー。ワイナリー見学や、併設するフレンチレストラン「ワイナリーレストラン ゼルコバ」で美食を堪能することも可能です。
<基本情報>
住所/山梨県笛吹市一宮町南野呂624
電話/0553-47-0207(ショップ直通)
営業時間/【ショップ】9:30~17:30、【レストラン】11:30~14:00(L.O)
定休日/年末年始
駐車場/あり(17台)
ホーム > プロカメラマンがレクチャー!観光名所やグルメ、絶景…スマホの旅写真が劇的に変わる撮り方