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更新日:2019年8月30日
日本ワイン発祥の地である山梨県。日本ワイン生産量及びワイナリー数は日本一を誇り、令和元年8月7日には山梨「ワイン県」宣言もされました。中でも、甲州市勝沼町には30軒ほどのワイナリーがあり、密集しているエリアもあるのでワイナリー巡りがしやすいのが特徴です。今回は、地元でワインにもくわしい”まち案内人”の小出順子さんに、ワイナリーを一緒にまわっていただきました。
※本記事の情報は【2019年8月】取材時点のものです。新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、
ワイナリー見学や試飲を行っていない場合があります。営業状況等につきましては、各施設にお問い合わせください。
【 前編 目次 】
▲今回勝沼を案内していただいた小出順子さん
小出さんは、勝沼にある「まち案内&カフェ つぐら舎」のオーナーです。ワイナリーに勤めていた経験があり、ワインの知識も豊富。甲州市観光案内所等での仕事を経て、現在は、カフェで県内外から訪れるお客様のまち案内もされています。
▲ワイナリー巡りは初めてという都内のお客様をお出迎え
▲ぶどう畑が一面に広がる小高い丘のてっぺんにある「甲州市勝沼 ぶどうの丘」
▲目の前に甲府盆地を見渡す360°の大パノラマが広がる
地下のワインカーヴには、甲州市推奨ワインが約200銘柄・ 2万本貯蔵されていて、1,500円ですべて試飲ができます。
専用の試飲容器「タートヴァン」は、なかなか形がお洒落なので旅の記念にもぴったり。
▲甲州市勝沼 ぶどうの丘 地下のワインカーヴ
▲タートヴァンはお持ち帰り可。おつまみ入れなどにも使えそう
▲小出さんにやり方を教わりながらテイスティング
「今のような暑い時期には、冷やして楽しめるマスカット・ベーリーAのロゼが良いねという風に、ワインを季節に合わせて選べるようになってくるともっと楽しめますよ。」と、小出さん。
ここで試飲したのは8種類、その中で気になった3つのワイナリーを巡ることになりました。
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▲背景に映っている旧醸造蔵は、2019年7月に国の登録有形文化財に指定された
「世界に誇る日本のワイン」造りに情熱を燃やす大村春夫社長に、これまでのぶどう造りへの挑戦についてお話を伺いました。山梨では30年ほど前は棚栽培がほとんどでしたが、海外で主流の垣根栽培に中小メーカーの中でいち早く取り組んだのだそう。
▲大村さんが特に思い入れの深い畑を特別に案内していただきました
▲試行錯誤して育てた、世界に通用するワイン用ぶどうがたわわに実る。
▲盆地を取り囲む山々と一面のぶどう畑が眼下に広がる
畑にはスタッフの方々が汗を流してぶどうの農作業にあたっていました。 みなさんの努力の結晶がおいしいワインに繋がるのですね。
まずは、ワイナリーの中へ。見学路には、創業当時から現在までのワイン造りの歴史を知ることができるギャラリーがあります。一番の見どころは、社員で壁に穴をあけ見学者通路にした旧コンクリートタンク。以前はこの中でワインを発酵させたり貯蔵もしていました。
▲旧コンクリートタンク(現在は瓶貯蔵庫となっており、国の登録有形文化財)
壁一面に、ワインに含まれる成分の酒石が付着しています。酒石は別名”ワインのダイヤモンド”と呼ばれ、コンクリートタンクの中を歩けば、夜空に瞬く星のように酒石が輝いて見えます。
▲ダイヤモンドと言われるだけあって、キラキラと輝く酒石が美しい
▲こんなジブリ美術館も手掛けた作家さんのステンドグラスも!どこにあるか見つけてみて
次は、テイスティングへ。江戸時代末期に建てられた母屋を改装した趣のあるショップで試飲もでき、ぶどう品種や製法による味わいの違いを楽しむことができます。赤、白、ロゼ合わせて5種類の試飲で500円が基本コース。
▲レトロモダンな雰囲気のショップ
▲有料試飲(基本コース)のワイン
▲大村社長のお話を聞きながらテイスティング
▲2017 ルバイヤート シャルドネ 「旧屋敷収穫」
見学したシャルドネの畑で造られたワインは、2019年日本ワインコンクールで金賞を受賞。
(常時ではないがタイミングが合えば別料金でテイスティング可。1杯500円)
様々なワイン造りの手法にチャレンジしている大村さん。造り手の想いを聞きながらテイスティングをすると、ワインを身近に感じることができます。
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※ワイナリーの見学は、午前10時30分、午後2時00分の1日2回。所要時間は約15分(無料)。
(今回取材した、シャルドネの畑は見学コースに含まれておりません)
▲ワイナリーツアーのガイドも務めるシニアソムリエの真杉茂央さん
ランチタイムにワインに合う料理を盛り合わせた“ワインプレート”を注文。料理とワインのマリアージュについて、シニアソムリエの真杉茂央さんが味や香りなど合わせ方を解説してくれます。
▲ワインの特徴を丁寧に解説していただきました
▲この日試飲したワインは6種類。写真一番左が“玉諸甲州きいろ香”
「この“玉諸甲州きいろ香”は、甲州ワインで初めて柑橘系の香りを表現した、日本のワイン業界に大きな影響を与えたワインなんです。」と、真杉さん。
▲笛吹甲州グリ・ド・グリ
フランス語で“グリ”と呼ばれる甲州ぶどうの皮の色を生かしたワイン
ワインプレートに真杉さんおススメのワインを合わせていただきます。
”ワインプレート” フランスパンの右側から時計回りに
・トルティージャ(スペイン風オムレツ)
・ブランダード(タラのリエット)
・カポナータ(夏野菜のトマト煮)
・ポークリエット(豚肉を煮込んだ料理)
カポナータにはビネガーの酸味があるので、キリッと冷やした甲州ワイン”玉諸甲州きいろ香”のキレイな酸味と合わせて。タラのリエットのクリーミーな味わいには、樽で仕込んだ厚みのある甲州ワイン”甲州小樽仕込み”を。豚肉の料理には、山梨の代表的な赤ワインであるマスカット・ベーリーA、などとマリアージュを楽しみました。それぞれ単体で楽しむよりおいしさが際立ちます。
▲テイスティング方法のレクチャー
真杉さんからテイスティング方法のポイントアドバイスも。大事なのは「1.色を見る。2.香りをチェック。3.味わいの表現」の3つをおさえながら味わうことだそう。
▲眺めの良いテラス席もあります。勝沼の風を感じながらカンパイ!
ワイナリーでは、ワインと料理の合わせ方など、気軽にスタッフの方に聞いてみることをおすすめします!新たなワインの楽しみ方の発見があるかもしれません。
ワイナリー巡りは、後半へ。勝沼の風土を生かした自然な味わいのワイン造りにこだわるワイナリーや、ぶどうトンネルなどワイン産地勝沼の魅力をご紹介します。
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※テイスティングは、常時20種類以上のグラスワインがあります。
全て有料で、価格は100円~1,300円。(※時期により異なります。)