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更新日:2019年9月9日
日本ワイン発祥の地である山梨県。日本ワイン生産量及びワイナリー数は日本一を誇ります。そこで県は、山梨ワインの振興を図るため、令和元年8月7日に山梨「ワイン県」宣言をしました。中でも、甲州市勝沼町には30軒ほどのワイナリーがあり、密集しているエリアもあるのでワイナリー巡りがしやすいのが特徴です。今回は、地元の小出順子さんに、1日ガイドをしていただき、おススメのワイナリーを巡りました!
前編に引き続き、後編も魅力的なワイナリーと勝沼のとっておきの場所をご紹介します!
大正2年創業のワイナリー。築140年の立派な母屋が印象的な「くらむぼんワイン」
今から100年以上前に、山梨市牧丘町にあった養蚕農家の母屋を移築したもので、この母屋とワインセラーは、2019年7月に国登録有形文化財に指定され、建築物としても見応えがあります。
▲「勝沼の風土を生かした自然な味わいのワイン造りにこだわる」
オーナー 野沢たかひこさんにお話を伺いました。
▲自社畑を見学
ここでは、2007年から垣根栽培でシャルドネなどを育てていて、
除草剤や殺虫剤などを使わず、ほとんど肥料も与えず、自然に則した栽培を行っています。
▲セラー内は、樽の香りとワインの良い香り!
さらに階段を下り、地下のセラーへ
▲地下のセラーはひんやり!
ここは、約100年前にぶどうの貯蔵庫として使われていたところで、
ワインの保存に適した温度を保っているのだそう。
ワイン資料室で甲州ワインの歴史についてお話を伺います。
▲ワイン資料室 ワインに関する資料や、天然コルクの原木などが展示されている。
▲会長が世界中から集めたワインオープナーがたくさん!
▲大正から昭和初期に使用されていた木製のぶどう圧搾機なども並んでいる
戦前は各ぶどう農家さんがワインを造っていて、多い時は3,000ヶ所もあったとか。
▲コルクの打栓体験もできます。
▲母屋の座敷でお話を伺った。
自社畑のぶどうで造るワインは、よりその土地の風味が生きたワインを造るために、
なるべく人の手を使わず、濾過もせず、ぶどうの果皮に付いている
天然酵母を使って発酵させているのだそう。
“勝沼らしい“ワイン造りをやってみようと思ったきっかけを尋ねると、
「フランスのブルゴーニュで2年間、栽培と醸造を学んでいた時に、
その土地の風味が生きたワイン造りをずっと意識していました。
自然に即した栽培に移行したのは、2007年にフランスでビオディミナ農法
(有機農法の一種)をしているワイナリーを訪れたのがきっかけ。」
と、話す野沢さん。
「日本固有のぶどう品種、甲州種とマスカット・ベーリーAは、
海外のワインに無い風味を持っています。勝沼のワインは、特に和食に合います。
日本食ブームの海外では、甲州ワインの知名度はとても高いんですよ。
勝沼が初めての方には、そんなことを知ってもらえると嬉しいですね。」
▲テイスティングルームには、常時約20種類のワインが並んでいる。
テイスティングは一人500円。(※ワイン・果汁購入の方には返金)
▲五感を使って味わってみる
野沢さんからワインの特徴や、各ワインに合う料理を教えてもらいながら
味わってみると、よりそのワインの個性を感じられる気がします。
▲野沢さんの頭文字”N”を冠した「Nシャルドネ」
見学した自社畑のぶどうを使い天然酵母で醸造したワイン。
(注:こちらのワインはテイスティングはできません)
▲各ワインのボトルには、おススメのおつまみの紹介が。
▲「フランス留学時代のホームステイ先で、郷土料理に安くても美味しい地元のワインで、
皆で集まって楽しく飲んでいた。そういうことを日本でも出来たら良いな、
と思ったのがワイン造りを継ごうと思ったきっかけ」と、語る野沢さん。
勝沼の風土を生かした丁寧なワイン造りを実践する野沢さん。
初心者からワイン好きの詳しい方、若い方から老夫婦まで色んな方々が訪れるそう。
日常の食事と合わせてもっと気軽にワインを楽しんでみよう、そんな気持ちになりました。
▲自然との共存がテーマの宮沢賢治著「やまなし」
100周年を機に変更した社名は、ここから名付けた。
▲母屋のベンチで
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「くらむぼんワイン」を出て、「ワインと宿・川口園」前の高台からの
勝沼の絶景ポイントを小出さんに教えてもらいました!
▲山の中腹に鳥居の形が見える所が、“鳥居平”と呼ばれる地域。
「ここからは、東に鳥居平、西に甲府盆地が見え、勝沼が扇状地であることが良く分かります。
この扇状地であることが、日当たりや水はけが良く、ぶどうの栽培に適した地形なんです。
天気が良ければ南アルプスも見られる眺望の良い場所です。」と、小出さん。
▲土手より南側
▲西側には甲府盆地、天候が良ければ南アルプスが見られる
土手側の「ワイン宿 川口園」と「つぐら舎」を結ぶ、ぶどうトンネル。
長さは100m程あり、ぶどう棚の下は爽やかな風が吹き抜けます。
勝沼に来たら、ぜひ訪れていただきたい場所です!
ぶどうトンネルの先に、小出さんが経営する「まち案内&カフェ つぐら舎」があります。
店内は落ち着いた雰囲気でゆったりできます。
県産食材を使ったランチメニューもあり、おススメは甲州市で育てられたワイン豚のハンバーグ!
また、桃やぶどうなど、旬のフルーツをふんだんに使ったパンケーキやパフェも人気です。
▲この日は、桃のパフェと桃のパンケーキをいただきました。
(桃のメニューは8月まで)
▲9月からは3種のぶどうのパンケーキ
地元のぶどう3種類が贅沢に使われた見た目もかわいらしい一品。
▲美味しいスイーツでひと休み
▲ガイドをしていただいた小出さんに、勝沼の魅力について聞きました。
「勝沼は、駅周辺にコンビニも無いけど、何も無いのが良いんです。
勝沼の自然景観を大事に、今の勝沼のまま変わらず、
外からお客さんを迎えるという宿場町の時代から受け継がれている気持ちを大事にして、
今の勝沼の人たちが、楽しく輝いていられたら。」
それが勝沼の魅力だと語る小出さん。
「地元で生活している方、ワイナリーの方、ぶどう農家さん、
勝沼の人が生き生きしていないと、外から来るお客さんも楽しくないと思うんです。」
そんな勝沼のまちで『つぐら舎』は、観光客や地元住民の交流の場としても親しまれている。
「ぜひ、気軽にワイナリー巡りをしてみて。ぶどう畑の紅葉もとてもキレイですよ」
と、笑顔で語ってくれました。
勝沼を訪れた際に、勝沼のこと、ワイナリーのこと、ぶどう狩りのことなど
もし聞いてみたいことがあったら、『つぐら舎』へ小出さんの笑顔に会いにきてみませんか?
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実際にワイナリーの方や地元の方からお話を伺って、ワインの魅力を知ることができました。
今回訪ねたワイナリーの他にも素敵なワイナリーがたくさんあります。
ぜひお気に入りのワインを探しに、山梨へワイナリー巡りに来ませんか?
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関連情報「ワイン県」宣言をした山梨県。そんな山梨でいま楽しみたいのが、ワインと料理のマリアージュ。甲州ワインをはじめとする山梨のワインは、フランス料理・寿司・焼き鳥などさまざまなジャンルの料理と相性が抜群。地元の人気レストランに、お店のおすすめ料理とそれに合わせたい山梨ワインを教えてもらいました。 |