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甲州ワインの歴史とこれから

明治から平成まで国内外の技術と知恵を集結してつくりあげた味

 <明治>

1870年 甲府の山田宥教と詫間憲久が山ぶどうと甲州ぶどうからワインを生産した。
1877年 勝沼に大日本葡萄酒会社が創設。高野正誠と土屋龍憲をワインづくり研修でフランスへ派遣。

 

土屋と高野

1877年、勝沼の青年がワインづくりを

学ぶため、フランスに派遣された。

  

<昭和>  
1979年 勝沼町ワイン原産地認定制度が条例化。
1984年 食事と相性がよい辛口が求められるようになり、やや甘口のフレッシュ&フルーティからスタイルを転換。シュール・リー製法を用いた最初のワインがリリースされる。
1987年 勝沼の小中12ワイナリーにより、勝沼ワイナリークラブ発足。シュール・リー製法が一般化。
<平成>  
2003年 ボルドー大学の研究により、甲州ぶどうに柑橘系の香りの前駆体(ある物質が生成する前の段階の物質)である3MH(3メルカプト・ヘキサノール)が発見される。
2004年 カリフォルニア大学デイヴィス校が甲州のDNA鑑定を実施。ヴィティス・ヴィニフェラの系統と判明。
2005年 アメリカの世界的なワイン評論家、ロバート・パーカーJrが甲州ワインを初評価。
2009年 山梨県内のワイン生産者15社を中心に、KOJ(Koshu of Japan)が発足。甲州ワインの品質向上と世界進出を目指す。
2010年 OIV(国際ブドウ・ワイン機構)が甲州をブドウ品種として登録。同年甲州市原産呼称ワイン認定制度が施行される。
2013年 日本のワイン産地として初めて、国税庁長官から地理的表示「山梨」の指定を受ける。

 

若い世代に聞いた「甲州ワインの未来」のためにできること

(このインタビューは平成24年度に実施しました。)

その1 甲州の伝統とは異なる「垣根仕立ての栽培」に挑戦中

「中央葡萄酒」の三澤彩菜さんが考える理想の甲州とは、“残糖のないドライなスタイル”。“酸がシャープでかつ複雑”そして“ほどよい香り”の3要素を持つもの。こうした要件を満たすブドウ作りに、欧米で一般的な「垣根仕立て」が必要と語ります。この栽培法で作られた甲州ブドウは、他のブドウとは濃縮具合が明らかに違うのだとか。将来は、県内の甲州産地で垣根仕立てを一般化させるのが夢だそうです。

三澤彩菜さん

その2 フランスのワイン修行で甲州の素晴らしさを再発見

甲州ワインのワイナリー「ダイヤモンド酒造」の三代目・雨宮吉男さん。彼がブルゴーニュの研修中に知り合った現地の友人の実家ワイナリーで、曾祖父の代からこだわっていたのは古来種のアリゴテでした。土地には土地に適した品種があることを学んだ雨宮さんは、帰国後「品種も地元なら醸造技術も地元」を掲げて、山梨におけるワイン造りの伝統を受け継いでいます。

雨宮吉男さん

その3 甲州は緊張感のある品種だから挑戦し甲斐もある

ともに大阪大学を卒業し、発酵や日本酒分野で活躍した土屋幸三さんと由香里さん。結婚後、夫の祖父が残したワイナリー「機山洋酒工業」を継ぎました。ご夫妻のモットーは、甲州ブドウの品種特性に寄り添いながら、この種が持つ白桃や花梨、リンゴ、密柑、グレープフルーツの薄皮といったさまざまなアロマを自然のままに引き出すこと。「食卓の日常品として良いワインを選びたい」と、二人のあくなきチャレンジは続きます。

土屋幸三さんと由香里さん

 

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