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更新日:2022年4月13日
「燻製屋 響」は、山梨県南アルプス市にある燻製工房。看護師免許を持ち、災害派遣医療チーム「DMAT」にも所属する手塚健斗さんが、「山梨のワインに合う美味しいつまみを」とオリジナルの燻製作りに着手したことをきっかけに、今や山梨が誇る自慢の逸品となる燻製をプロデュース。自身のお酒好きが高じたともいえるこだわりの燻製は、“家で、ちょっといいお酒と食事を楽しむ”という世の中の機運も合間って、熱い視線を集めています。
山梨県産の食材を用いた独創性豊かな製品が30種類以上。「燻製屋 響」は、山梨県南アルプス市に工房を構える燻製加工品の専門店です。
「もともと僕は東京で看護師として働いていました。実家が自営業ということもあり、山梨にUターンしたのは30歳のとき。半導体や気密端子を扱う実家の製造業を手伝いながら、もっと地域に根ざした取り組みを展開できた…と考えるようになりました」
こう聞かせてくれるのは、「燻製屋 響」オーナーの手塚健斗さん。生粋のお酒好きである手塚さんは、晩酌をしていたとある夜、お酒のアテとするつまみがどうにも一様ではないかということに気づきます。
「山梨はワインが有名。それなのに、ワインのおつまみはどこかパッとしない気がしました。さらに、県の名産といえばフルーツですが、フルーツは年間を通してアピールできるものではありません。それならば、山梨をアピールできる加工品として、ワインに合う美味しいおつまみを作ろうと思いました」
燻製製品に力を入れると決めたのは、やはり山梨にワインがあったから。手塚さんが最初に商品化したのは定番の「チーズ」、そして「豆腐」と「ヤマメ」でした。
「お豆腐を燻製にしてみようと思ったのは、多様な食べ方ができる食べ物だと感じていたから。近所の豆腐屋に特注の豆腐をお願いし、丸ごと1丁燻製にしています」
燻製にすることで余分な水分が抜け、豆腐の旨味だけが凝縮。鰹節と煮干を効かせた特製の漬け込みダレの香りと燻製のスモーキーな香り、さらには独特の食感がクセになるのがこの商品の特徴です。そのまま食べても、カットしてサラダにも使っても美味。豆腐の燻製は、他にはない変わり種。発売当初から根強い人気を誇ります。
「ヤマメは見た目にインパクトがありますよね。こちらは富士川町の清流で丁寧に育てられたヤマメを用いています。生産者さんのところへなんども足を運んで、使わせてくださいとお願いして商品化した思い入れのある一品でもあります」
燻しながら時間をかけてゆっくりと水分を抜くことで一層引き立たせたヤマメの旨味と、特製の和風テイストのタレで仕上げた逸品。「背骨と骨を熱燗に浸して骨酒としても楽しむのもオススメ」と手塚さんは話します。
燻製チーズは、シンプルな「チーズ」と、昭和町の胡椒農家の白胡椒・赤胡椒を用いた「ペッパーチーズ」の2種。いずれもうっとりするようなスモーキー香を纏います。
響の燻製は、スモークチップにも大きな特徴があります。
「燻製機を購入し『これでどうかな?』というところから、すべて自分たちで試行錯誤。チップも色々と試しましたが、最終的に果樹の剪定枝にたどり着きました。サクラチップをベースに、桃やさくらんぼなどをブレンド。用いる枝によって少しずつ香りが変わっているのもうちの燻製の特徴です。果樹の剪定枝を用いることで、より山梨らしいオリジナリティを潜ませることができたと感じています」
燻製にする食材から、チップに用いる木のチョイスまで。いずれも、県内の生産者を自ら駆け回って直談判。文献を読んで調べ、製品を仕上げては試食を繰り返し、レシピ作成も自分たち。3年前に3種類の商品から始まった響の燻製は、現在30種以上のラインナップ。
「昨年は、2020年に県の新たな特産品として話題になった『富士の介』を用いた燻製が完成しました。『富士の介』はキングサーモン同士を交配して誕生させた、日本でも珍しいサーモン。脂ののりが良く、味に深みのあるとても美味しいサーモンです。半年以上かけて、やっと納得の燻製に仕上げることができました」
山梨の美味しいものを使った、“ここにしかない、とっておきの燻製”は、自分へのご褒美はもちろん、大切な人に胸を張って紹介したくなる逸品。産地が香る「響」の燻製は、「商品すべてにストーリーがある」と聞かせてくれます。
■今回ご紹介した企業情報
・企業名:燻製屋 響《https://kunseiya-hibiki.storeinfo.jp/(外部リンク)》
・オーナー:手塚健斗(Kento Teduka)
・施設住所: 400-0212 山梨県南アルプス市下今諏訪381-5
◎この記事を書いた人
小栗 詩織(おぐりしおり)
コピーライター/2015年10月よりフリーランスとして活動。県内外の企業の広告企画・SNS運用・コピーライティングに携わる